外国人を特定技能で雇用する場合の注意点|行政書士が企業向けに解説
2026/08/12
外国人を特定技能で雇用する場合の注意点|行政書士が企業向けに解説
はじめに
人手不足への対応として、外国人を「特定技能」で雇用する企業が増えています。
特に浜松市では製造業をはじめ、さまざまな業種で外国人材が活躍しています。
特定技能は、人手不足が深刻な分野において一定の技能を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。
ただし、特定技能は「外国人を採用して働いてもらえばよい」という制度ではありません。
受入企業には、外国人本人に対する支援や入管への届出など、さまざまな義務があります。
この記事では、特定技能で外国人を雇用する企業が注意したいポイントを、行政書士の立場から解説します。
1.まず「特定技能の対象分野」か確認する
特定技能は、どのような仕事でも利用できる在留資格ではありません。
特定技能には対象となる分野が定められており、外国人が従事する業務も、その分野で認められた業務である必要があります。
そのため、採用を決める前に、
「この会社の仕事は特定技能の対象になるのか」
を確認することが重要です。
対象分野や具体的な業務内容については制度改正によって変更されることがあるため、最新の情報を確認する必要があります。出入国在留管理庁も、2026年に特定技能制度の運用要領や分野別情報などを更新しています。
2.特定技能1号と2号の違いを理解する
特定技能には「1号」と「2号」があります。
特定技能1号は、一定の技能や日本語能力を持つ外国人を受け入れる制度で、受入企業には外国人への支援が義務付けられています。
一方、特定技能2号は、より熟練した技能を持つ外国人を対象とする制度で、1号とは制度上の取り扱いが異なります。
特に企業が初めて特定技能外国人を雇用する場合には、まず「特定技能1号」の仕組みを理解しておくことが重要です。
3.仕事内容と在留資格を一致させる
特定技能で最も重要なポイントの一つが、許可された業務の範囲で働いてもらうことです。
「特定技能だから工場の仕事なら何でもできる」というわけではありません。
採用時に予定していた仕事内容と、実際に行っている仕事が大きく異なる場合には問題になる可能性があります。
そのため、
- どの分野で受け入れるのか
- どの業務に従事するのか
- 実際の仕事内容は何か
を事前に整理しておくことが大切です。
4.特定技能雇用契約の内容を確認する
特定技能外国人との雇用契約は、通常の労働契約だけでなく、特定技能の制度上の基準も満たす必要があります。
出入国在留管理庁も、雇用契約について労働関係法令を遵守するとともに、特定技能雇用契約に関する基準を満たす必要があるとしています。
給与や労働時間などについても、適切な条件を設定する必要があります。
5.特定技能1号では「支援」が必要
特定技能1号を受け入れる企業にとって、特に重要なのが外国人への支援です。
受入企業は、外国人が日本で安定して働き、生活できるようにするため、「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、その計画に基づいて支援を行う必要があります。
主な支援には、
- 入国前の事前ガイダンス
- 入国時・帰国時の送迎
- 住居確保の支援
- 銀行口座や携帯電話などの契約支援
- 日本での生活に関するオリエンテーション
- 公的手続への同行・補助
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 受入企業側の都合による離職時の転職支援
などがあります。
「採用した後は本人に任せる」という対応では不十分です。
6.登録支援機関に支援を委託することもできる
特定技能1号の支援を企業だけで行うことが難しい場合、登録支援機関に支援業務を委託することができます。
登録支援機関に支援計画の全部を委託した場合には、受入企業が一定の支援体制に関する基準を満たすものとみなされます。
ただし、
「登録支援機関に頼めば企業側は何もしなくてよい」
という意味ではありません。
受入企業としての義務や届出などについても、きちんと管理する必要があります。
7.外国人本人から保証金や違約金を取らない
特定技能外国人を受け入れる際には、外国人本人が不当に拘束されるような契約を避ける必要があります。
例えば、
「途中で退職したら違約金を支払う」
といった契約を安易に設定することはできません。
外国人本人から保証金を徴収したり、違約金を定めたりすることについても注意が必要です。
8.外国人に分かるように労働条件を説明する
外国人を雇用する場合、労働条件を外国人本人が理解できるように説明することが重要です。
特に、
- 給与
- 労働時間
- 休日
- 残業
- 有給休暇
- 社会保険
- 仕事内容
などについて、入社前に十分説明しておきましょう。
言葉の問題による「聞いていた話と違う」というトラブルを防ぐことにもつながります。
9.入管への届出を忘れない
特定技能の受入企業には、一定の場合に出入国在留管理庁への届出が必要です。
特定技能制度では、受入れ・活動・支援の実施状況などについて、定期的な届出が必要となる場合があります。
また、雇用契約や受入れ困難、支援計画などに関する変更等について、随時の届出が必要となる場合もあります。2026年には定期届出のルールや提出資料についても更新されています。
「在留資格の許可を取ったら手続きは終わり」ではない点に注意してください。
10.在留期間を管理する
特定技能にも在留期間があります。
企業側でも外国人従業員の在留カードを確認し、在留期間の満了日を把握しておきましょう。
更新時期を会社側でも管理しておくことで、更新手続きの遅れを防ぎやすくなります。
11.転職・退職などがあった場合にも注意する
特定技能では、外国人が転職する場合にも注意が必要です。
特定技能は、仕事内容だけでなく、受入企業や分野との関係も重要になるため、単純に「別の会社へ移ればよい」というものではありません。
退職や雇用契約の変更などがあった場合には、必要な届出や在留資格上の手続きを確認する必要があります。
12.自治体の共生施策にも注意する
特定技能制度では、外国人との共生社会の実現に向けた地域との連携も重視されています。
2025年4月から、特定技能所属機関について、地方公共団体から共生施策への協力を求められた場合に必要な協力を行うことなどが受入れ機関の基準として定められています。
また、1号特定技能外国人支援計画を作成・実施する際にも、地方公共団体が実施する共生施策を踏まえることが求められています。
外国人を「会社の労働力」としてだけ考えるのではなく、地域社会の一員として生活できる環境を整えることも重要になっています。
特定技能で外国人を雇用する前に確認したいこと
採用を決める前に、次の項目を確認しておきましょう。
- 特定技能の対象分野か
- 担当する業務が対象業務か
- 特定技能1号・2号のどちらに該当するか
- 外国人本人が必要な要件を満たしているか
- 雇用契約が特定技能の基準を満たしているか
- 支援体制を準備できているか
- 登録支援機関を利用するか
- 必要な届出を把握しているか
- 在留期間を管理できる体制があるか
- 外国人本人に労働条件を十分説明できるか
まとめ
特定技能は、人手不足に悩む企業にとって外国人材を受け入れるための重要な制度です。
しかし、特定技能は一般的な外国人雇用と比べて、受入企業に求められる手続きや支援が多い制度でもあります。
特に特定技能1号では、
「採用すること」だけでなく、「採用後に適切な支援を行うこと」
が重要です。
仕事内容、雇用契約、支援体制、届出などを事前に確認し、制度を正しく利用することが大切です。
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波乗り行政書士事務所では、浜松市を中心に、外国人の在留資格に関するご相談を承っております。
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